ホストやホステスといった水商売に携わっている人によくあるのが、「キャッシングやカードローン審査に職業を理由に落とされた」と相談されるケースです。
確かに水商売の人は、会社員と比較すると給与体系が不安定であり、カードローン会社からすると継続的な収入を得ていると判断しにくい面があります。
そうした問題も踏まえて、今回は、借り入れに不安を持っている水商売に携わる人が、カードローン審査で落とされないようにするには何に気をつけるべきなのかを解説していきます。
貸金業者と水商売経営者の給与についての考え方の違い
カードローン審査の際に必ず調べられるのは、本人確認と収入です。利用金額は非常に小さいのであれば、収入はさほど重視されませんが、契約申込書に記載した収入と実際の収入に大きな齟齬があると、カードローン会社は審査で弾くことになります。
この時、注意しなくてはいけないのが「歩合制の給与」についてです。水商売の多くは、「基本給＋歩合」という給与形態をとっています。成果を出したものにより多くの報酬を支払うのが、この業界の基本です。
問題になるのは、この歩合の金額は貸金業者では正式に給与として認められないという点にあります。
例えば、基本給が月２５万円だとして、歩合で月平均１０万円追加報酬をもらっていたとしても、カードローン会社で収入を聞かれた時には２５万円と答えなくてはいけないのです。
歩合制は給与に認められない？貸金業者の「安定した収入」とは
なぜ、歩合制の給与ではこうした扱いになってしまうのでしょうか？
貸金業者では、利用者の債務契約の審査においては「確定した収入」が考査の対象になると考えています。この確定したというのは、「その人が最低で毎月このくらい稼ぐ」という金額で計算されています。
歩合のような追加報酬は、状況によっては無くなる可能性がある収入として、審査では認められなくなっているのです。
当然借り入れの限度額も基本給のみを考慮して算出されます。だから、水商売の人が「収入に比べて借り入れ出来る金額が少ない」という不満を持ちやすいのは、この仕組みによるものなのです。
これは、水商売に限った話ではありません。歩合制を採用している業種は全て、この例に含まれます。（バスやタクシーの運転手や営業職等）
貸金業者は返済の確実性を上げるために、収入に関しての考え方が非常にシビアなのです。水商売に携わる人はこれを知ったうえで限度額の希望を出すようにしましょう。
消費者金融などの審査が緩い貸金業者であっても、総量規制の計算される給与も歩合分は無視されるので、高額な借り入れをする時に限度を見誤らないように注意しなくてはいけません。
これだけは守ろう！水商売に携わる人が借り入れで守るべきこと
信用が低く評価されやすい水商売において、返済期日を守ることは契約を続けるために絶対と言ってもいいことです。どのような借り入れをしても本人の自己責任なので構いませんが、返済だけはしっかりと行いましょう。
また、契約当初から高額の借り入れをすることも可能な限り避けましょう。最初の利用では小さな額を借りて、一度すべて返済してから額を徐々に増やしていくことで、信用を得られやすくなります。
そして、もう１つ守るべきことは、３社以上の貸金業者を同時に使わないということです。銀行カードローンと消費者金融カードローンを併用する場合でも、複数の借金がある状態はそれだけで不安要素と見られます。
水商売以外の人でも、一度に３社以上の借り入れを多用するのは、貸金業者にとってマイナス評価になることを知っておきましょう。
返済で問題を起こすとどうなるのか知っておこう！
さて、万が一返済でトラブルを起こしてしまった時に、どのようなペナルティがあるのかを知っておくこともまた重要な事です。
よくあるトラブルは、期日までに指定の返済ができずに延滞になってしまうことです。このような場合では、事前に連絡をしているかどうか、返済の意思があるとみなされるかどうかが肝要です。
もし、返済が間に合わないと分かっている場合は、必ず貸金業者と連絡を取り、返済を待ってもらうように交渉することです。返済できない理由に妥当性があれば、特にペナルティ無く待ってもらえることもあります。
延滞で絶対にやってはいけないのは、無断で全く返済せずに期限を過ぎることです。
この行為は悪質と判断され、異動情報（俗に言うブラック）の状態になり、行為から５年間の間、ほとんどの貸金業者で借り入れ自体が不可能になるという強烈なペナルティが発生します。
偏見がある？水商売は審査の時にどのように見られているのか
よく、「水商売だと借り入れ審査の時に不当に低く評価される」ということを聞きます。水商売という後ろめたさからこのようなイメージが独り歩きしてしまった結果でもあるのですが、実際には職業によって不当に低く評価されるということはありません。
もちろん、収入の不安定さから限度額を下げられたりすることはありますが、「～の職業だから借り入れは出来ない」というような差別的な自体にはなりません。
水商売の審査での括りは「風俗・サービス業」に分類され、言ってみれば普通のサービス産業に関わっている人やスタッフと同じ立場になります。
職業欄に風俗業と記載したとしても、法律での風俗定義は「客に飲食や接待を行い、または一定の設備で遊興させる営業」となっているため、水商売だと思われない可能性自体が高いのです。喫茶店だろうが、レストランの接客だろうがゲームセンターだろうが、全て風俗業に分類されます。
水商売でも公務員でも１人の利用者に過ぎない！違いはどこか
水商売に携わっている人であっても、公務員として働いている人でも、貸金業者から見れば利用者の１人に過ぎません。この２つの違いは所得の安定性にあります。
例えば、年収が３００万円の水商売の人と年収が３００万円の公務員の人があるとしたら、より多くのお金を借りることが出来るのは公務員の方です。
一方、水商売の人は、職場での競争や人材の入れ替わりが激しく、しかも収入は個人の業績に大きく依存しているため、安定性が低いと判断されます。（風俗業全体でそのように見られます）
その結果、勤続年数が短い場合、水商売の借り入れは公務員や会社員などに比べて借り入れの難易度が高くなるのです。
収入が不安定でも高額な借り入れができるようになるためのポイント
水商売だけでなく他の職業でも言えることですが、収入が不安定な職というものは多岐にわたります。このような職種に人はみな借り入れにある程度の苦労を持つのですが、そういった人たちでも、貸金業者から高額の借り入れができるようになる方法はあります。
とはいっても、いきなり高額の借り入れをすることは残念ながらできません。要は、収入が不安定でも、返済が問題なく出来ると知ってもらえば良いのです。
貸金業者に対して、信用を勝ち取るためには、こまめな利用と前倒しに返済する行為を繰り返すことが重要になります。
特に、返済に対して不安があるからこそ、銀行や消費者金融が貸し渋るのですから、その不安を取り除くようなことをしっかり行えば、業者側も安心してお金を貸してくれるようになります。
