交際費や、レジャー代の工面が今月ちょっと苦しい…そんな時に頼りになるのがキャッシングやカードローンです。
最近では若い世代の方も抵抗なく利用されているようですが、実際何歳から利用できるのかはっきりとご存じない方が多いのではないでしょうか?
ネットでは18歳でも利用できたという口コミもありますが、果たして本当なのでしょうか?
噂の真相を探ってみました。
18歳以上でキャッシング利用できるようになるというウワサ
大人と子供の境界線はどこかにあるはず。大人にならなければできないこと、子供だからダメと制限されることは確かにあって、年齢のために不自由を余儀なくされています。
そんな制限のひとつにキャッシング利用を挙げることができるでしょう。活動範囲が広がり、大人に混ざって行動するようになるのに、社会的に許される権利はいっこうに拡大しません。
このままだと責任だけが重くなり、むしろ大人よりも条件が厳しいということになります。しかし、今年は少し社会的状況に変化が訪れようとしているのです。
18歳から選挙に参加できるということは大人の仲間入り
「民法及び公職選挙法は18歳に引き下げるのが適当」だと、2009年7月29日に、法務省法制審議会で民法成年年齢部会は最終答申を出しました。
この流れを受けて、今年の6月19日以降、改正公職選挙法が施行されることになります。今回の公職選挙法の改正は、18歳以上で大人の仲間入りを認めると考えていることは間違いありません。
キャッシング利用の条件は公職選挙法ではない
結論を最初に言ってしまえば、キャッシング利用に関係する法律は、残念ながら公職選挙法とはまったく関係がありません。
公職選挙法の改正は確かに選挙権という権利適用を拡大することで成年の権利を未成年者に認めるのですが、18歳以上で成年と認めるというわけではないのです。
本来の議論は時の民主党が「成年年齢の引き下げ等に関する法律案」として提出したことに始まります。この議論は、成年年齢、選挙権、少年法の3点を改正することを含んでいたのですが、今回はその一部が実現したということに過ぎません。
どうしてそんなに法律の壁が厚く、規制が多くなっているのでしょうか。権利を制限することがその目的になっているようにさえ思えてきますが、本当のところはどうなのでしょうか。
法律上、未成年はキャッシング・ローンを利用できないまま
キャッシングというとき意味していることはキャッシング・ローンということになります。具体的には必要な金額を借りて(キャッシング)、後で分割で返済(ローン)することなのです。
カードローンも広い意味で、キャッシング・ローンに含まれています。カードローンの場合はその場で現金を借りるのではなく限度額を定めたカードを利用してキャッシングするわけです。
このキャッシング・ローンは一種の契約であって、一般的に「法律行為」と呼ばれています。法律行為は各種の関連法律で規制されることになります。そして民法が成人年齢を規定しているのです。
民法第4条では年齢20歳で成年とすると定めています。なぜ20歳という数字が採用されたのかには諸説あり、制定された時代の徴兵や課税の基準を元にしたとも言われているようです。
未成年とキャッシングとの関わりは民法第5条の規定によって定められており、未成年者の法律行為(つまりローン)は親などの法定代理人の同意を必要とすることになります。
つまり民法を改定しないかぎりは、20歳未満の未成年者が単独でキャッシング・ローンを利用することはできないということになるのです。
大人の常識!貸金業法は利用者の保護を優先している
貸金業者、一般的には消費者金融業者がキャッシングローンを提供しています。彼らを規制する法律が「貸金業法」という法律になっています。
ですから、自分は「貸金業」だとか、「消費者金融業者」だとか名乗っていても登録を受けていなければ、非合法の業者だということになります。
貸金業法に従って営業することには多くの規制が伴うことになります。業者にとってはやりづらい限り、なのでできれば法律の規制を受けないで好き勝手に事業をしたいのでしょう。
それでは何が規制されて、非合法の業者にとって都合が悪いのかを簡単にまとめておくと次のリストのようになります。
- 総量規制
- 過剰貸付の禁止
総量規制は、年収からキャッシングの利用額の上限を設けることで生活が破綻することがないようにと定められた項目であり、また過剰貸付の禁止も同様の目的を持っているものです。
貸金業法はつまり、業者の行為を規制することによってキャッシング・ローンの利用者を保護することが目的になっているのです。
結局、18歳だとキャッシングの利用はできないままなのか
以上に見てきたように法律は未成年の経済活動を規制することで社会生活を保護するという立場をとっています。この状態がしかし最善なのかと問うならば、そのようなことはありません。
各国で成人年齢が20歳未満である例は見られます。イギリスやドイツでは事情は異なりますが、1970年代には18歳を成年とするように引き下げています。中には14歳を成年とする国すら見られるのです。
日本の改正提案の主旨にも根拠があります。それは憲法改正手続きに関する法律において、国民投票の選挙権が18歳以上とする規定があることです。これによって民法などにズレが生じました。
このズレを解消する方向に意識が動いていることは間違いありませんが、未だに統一見解になっているとは言えず、また多くの法令の改正が伴うためかなりの時間が必要だと思われるのです。
未成年にもキャッシング・ローンを提供している金融業者とは
このような法律で規制されているのでは、未成年者がキャッシング・ローンを利用することはいっさいできないのかというと、そうでもありません。
いくつか方法がありますが、合法・非合法を合わせて大きく3つ考えられます。当然ながら非合法を避けるべきで、オススメするのではありませんが、避けるためにも知っておくことは必須でしょう。
未成年者がキャッシング・ローンを利用する場合には、どの業者から提供を受けるかという視点で分類することが図式化できて都合が良いと思えます。
まっこう勝負!本当に必要なら親を説得して利用する
銀行を含めて消費者金融のほとんどの業者では、法定代理人の承認があれば、キャッシングなどのサービスを提供することができます。
例えば、親が取得したカードローンを使用してキャッシングすることは合法であって問題ありません。それが内緒のキャッシングであっても法的に問題は生じず、単に家庭でのもめごとという扱いになります。
あまり意識することはありませんが、スマートフォンなどの本体代金はローンという扱いになっていることが普通です。この場合、契約時に法定代理人を必要としていることからも分かると思います。
その他でも、法定代理人である両親の承諾のもと、クレジットカードを取得することも可能であり、そうすればクレジットカードにはキャッシング枠が用意されている場合も多いでしょう。
事業の挑戦として提供している業者がいる!
ここで一旦立ち戻って違った視点で確認しておきたい点があります。それは法律上、ローン契約を結ぶことができないとは、どういうことを意味しているのでしょうか?ということです。
確かに民法では20歳を成年と規定しており、民法5条では未成年者が法律行為をするためには法定代理人の同意を必要とすることが書かれています。
未成年者に対するキャッシング提供はしかし、違法行為ではありません。必要とするということを述べているだけで、違法性を訴えることには無理があるからです。
ただ、場合によっては法律行為であるローンの提供を「無効」だとしてローン契約を破棄しなければならないという不利益を抱え込まなければなりません。これが金融業者にとっては大きなリスクになっています。
慎重さと安定性を大切にしている銀行系では、ローン契約を未成年者と結ぶことはまずありえませんが、消費者金融業者では大きく業者ごとに考え方が異なります。
数は多くありませんが、このリスクをものともせず、未成年者が対象であってもローンを提供している消費者金融業者を見つけることができます。
これはヤバイ!法律を度外視して提供している業者
貸金業法による登録を受けないままで営業している金融業者、いわゆるヤミ金なども未成年者に対してキャッシングローンを提供しようと画策しているので注意が必要でしょう。
何が問題かというと、法律を度外視しているということはつまり、法律を無視していることと同義なのだということでしょう。
貸金業法では万が一、利用者が返済不能に陥ってしまった場合にどのように対応するかといったことについても厳しく規制を設けています。
法律による保護は貸金業法に留まりません。キャッシング・ローンを利用する際に問題になる金利については、「利息上限法」によって上限金利が定められているのですが、ヤミ金はこれも無視します。
中には年利換算すると、1000%を超えるような契約もまかり通っているともいいます。君子危うきに近寄らずの精神が大切でしょう。
利息上限による金利の上限は次のようになっています。
ローン金額 | 年利の上限 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
18歳がキャッシング・ローンを利用するためのまとめ
未成年者に対してキャッシングローンを提供することはが、業者にとって大きなリスクになることはおわかり頂けたと思いますが、ここではそのような業者とのつきあい方をとりあげてみます。
未成年者といえどもひとりの大人として、キャッシング・ローンを自己管理するのであれば、何より大切なのは利用する側の責任ある態度と考え方です。
大人としてふさわしい考え方と態度とを身につけて、キャッシング・ローンを活用することこそが社会的な利益を生み出す基本的な枠組みだからです。
計画性のある利用をするために具体的には何をするか
まずは金利と利息計算の基本です。キャッシングをローンで返済すると手数料が必要になります。この手数料のことを「利息」といいますが、利息を計算するための数字が「金利」ということです。
例えば、20%の金利で1万円をキャッシングします。1年分の利息は、10,000円×20%で2,000円になります。1年後に一括返済するなら1万2千円を返済することになります。
ところが、リボ払い返済方式で返済する場合は返済する度に利息を計算する元金が減少するはずなので事情が少し変化してきます。上の例を12回で返済してみますと…。
毎回の返済金額として選択可能ですが、960円ずつ返済したとすると支払った利息の合計は、1055円になります。ということは結果的に利息は約10%に抑えられたということですね。
このようにリボ払いは利率と利息とをあらかじめ計算しながら、期間を計算することで実質の支払利息を節約することが可能になります。
利息(円)=利用残高(円)×年利(%)×利用期間(日)数÷365(日)
知らないと危険!正規の登録業者を利用することが最低条件
キャッシングをしてくれる金融業者という枠組みには、銀行、消費者金融、そしてヤミ金があることを既に解説してありますが、銀行はさておいても消費者金融とヤミ金とを見分ける方法が必要です。
消費者金融業は登録事業なので正規に登録をしてあれば、業者は登録業者番号(貸金業登録番号)を持っているはずなのです。これを表示していない業者ならば、まずヤミ金融だと判断しましょう。
貸金業登録番号は金融庁が公開している公式サイトのページで業者名を検索することで確認することができます。なおこのサイトを利用するためには業者の正式名称を確認しておくことが便利です。
未成年者がキャッシングローンを利用するためのまとめ
以上のことを踏まえれば、18歳でもキャッシングローンを利用することは可能だと言えます。最後に念のため、ここで手順をまとめておきましょう。
まず以下のことをチェックします。当たり前のことも含んでいるでしょうが、チェックのためですのでご容赦ください。
- どうしても必要なキャッシングである
- 両親の了解を得ることができない
- アルバイトなどで定期的収入がある
- 18歳以上である
- 利用金額と返済計画とを立てた
すべて大丈夫だったでしょうか?それなら次は具体的にキャッシングに応じてくれる業者を探しキャッシングを実現する手順に入りたいと思います。その手順は次のようになります。
- 年齢制限を表示していない業者を探す
- 貸金業登録番号を確認する
- 事前に電話して条件を確認する
これらの中で、年齢制限を表示していない業者を探す、という項目は面倒に思われるかもしれませんね。しかし、このような未成年者に対するキャッシングを提供している業者は限られています。
例えば、「学生ローン」などのキーワードをグーグルなどのサイトで検索すれば容易に見つけることができるでしょう。もちろん中には年齢制限が20歳以上と明記している業者もありますが。
それでも年齢制限を記載していない消費者金融は数件確認することができるはずです。
忘れてはならないのが意外と、事前に電話して条件を確認する作業だということ。これをしないと店頭に出向いてから、「そんなつもりじゃなかったのに」という事態になりかねません。
電話をして、年齢制限の件を単刀直入に質問してみましょう。そこで担当者の応接が親切なのか、相談に乗ってくれそうなのかを判断することができるはずです。
実際に電話を入れて年齢制限のことを確認したところ、業者側の熱意として未成年への単独でのキャッシングをしているという回答を得ている事例はあります。
これだけは注意して!万が一の事態に陥らないために
仮に18歳で、アルバイトの収入をあてにしてキャッシングローンを利用した場合、最悪の事態を想定しておくことはとても大切なたしなみのひとつです。
考えたくありませんが返済不能に陥った場合、ローン契約は無効という扱いになります。つまりローンを利用している未成年者は以下の2つの選択肢から対応を選ぶことになります。
- 法的代理人がローンを肩代わりする
- 利用残高を一括返済する
つまりは、親に連絡が入って親がローン契約をやり直すことになるか、それとも利息を含まない状態で利用残高のみを一括で返済するという選択です。
法律的にはローン部分が無効になってキャッシングの契約部分を終了させるということを意味するのです。
キャッシング・ローンの利用にはメリットとリスクとが同時に存在ししている法律行為です。未成年者が一部の法律行為から保護されているということ、また権利をすべて取り上げているわけではないということを理解していただきたいのです。
その上で、一人前の大人として法律行為を実行するという若者に期待を寄せ、応援している大人たちがいることを知っていただければ、イザという時にも困ることはないに違いありません。