何かを選ぶという事はなかなか難しいものです。たとえば電化製品でも友人の勧めで買ってしまったが実際に利用してみると自分の生活スタイルに合わず、すぐに使わなくなってしまったというような経験はないでしょうか。
カードローンを選ぶ場合も同じで、どこがいいのか迷ってよく宣伝されているものや誰かの体験談で決めてしまう人が多いのが実情です。
そこで申込んでしまう前に、職業、利便性、有利さといったポイントを示し、自分に合ったカードローンをどのように選べばよいのか考えてみましょう。
職業や勤務形態から考える!審査の難易度が違ってくる
カードローンを選ぶ際の最初のポイントは、審査の難易度ではないでしょうか。多くの人の場合、もし審査に落とされてしまったらどうしようと、まず考えるものです。
審査は申込者の状況を判断して返済の可能性を見るために行いますが、この判断には職業や勤務形態が大きく影響してきます。
また金融機関ではそれぞれ一押しのカードローンを持っていますが、その審査では通らないような人のために、貸出限度額を低くした別のカードローンを用意している場合もあるため、申込の際によく確認することが必要です。
さらに返済方法も職業などによって返済しやすい方法が違うため、どのような返済方法が用意されているのか、予め確認しておく必要があります。
審査の難易度は利用者それぞれで違いがある
よく考えてみれば審査をするという事は、その申込者を評価するという事ですから、そもそも良いことばかり言っている宣伝文句や、別の人の体験など関係が無いことが分かります。
そこで審査の難易度を考える場合には、自分自身を客観的に見てみる事が重要です。
したがって、カードローンで審査に通りやすいのはこのように月々収入が入ってくる人ということになります。
もう一つローンは先々返済が続きますから、収入が続くことも前提になります。つまり雇用が安定していることも評価を上げる指標になります。
最近は以前に比べて雇用形態が多様化しており、このような硬直した考えでは、不利になってしまう人も多いのですが、金融機関としては返済を前提にする以上、なかなか評価の仕方は変えられないでしょう。
そこで職業や勤務形態による審査での評価を次の表に纏めてみます。
職業・勤務形態 | 評価 |
---|---|
公務員、会社員(正社員) | 高 |
会社員(契約社員、派遣社員) | 中の上 |
長期アルバイト、パート、自営業 | 中の下 |
年金受給者、専業主婦 | 低 |
短期アルバイト、水商売 | 極低 |
極低に位置する場合は、金融機関で相談して条件が整えば別ですが、まず借入れは無理です。低以上の場合には審査通過の可能性はあります。ただし専業主婦は収入がありませんから配偶者の返済能力が問われます。
金融機関の一押しカードローンが良いとは限らない
しかし評価が中の下や低の人は、審査に通らないあるいはそもそも申込めないケースが多々あります。そういう場合も諦める必要はありません。
テレビなどでよく宣伝されているカードローンというのはそれぞれの金融機関のいわば一押しのカードローンです。これらは貸出限度額もそれなりに高額ですが、審査はそう緩くはできません。
しかし多くの銀行などではカードローンはこの一押しのものだけではありません。主に一押しのカードローンの利用条件から漏れてしまうような人向けに、貸出限度額を低くして審査を緩くした別のカードローンが用意されています。
したがって、カードローンを探す場合にはこういったあまり宣伝されていないようなものも見逃さずに調べることが大切です。
返済方法も自分に合ったものを探したほうが良い
もう一つ職業に関連して考えておきたいのは返済方法です。先ほど説明した通り、通常カードローンは月々返済することが基本になっています。しかしもう一つの返済方法として任意返済という、いつでも好きなだけ返済できる方法が用意されている場合があります。
珍しい例ですが、月々の返済が無く、この不定期の任意返済法だけが用意されているカードローンも有ります。もし自営業を営んでいる場合には、こういったカードローンのほうが返済しやすいのではないでしょうか。
また完全に任意というわけではありませんが、返済を行った日から次回の返済までの期間を35日以内として、この間に返済すれば良いというような、多少弾力性のある返済方法を採用している場合もあります。この場合も月々決まった日に収入が入らない人には助かる返済方法になります。
返済が滞ると信用にかかわりますから、申込みの前に自分が返済していける返済方法が用意されているかどうかを確認しておきましょう。
利便性から考える!自分の行動範囲を見渡たしてみよう
次のポイントは利便性です。いくら審査に通りそうであっても、ATMが遠かったら使いにくくて仕方がありません。事前にATMの位置を把握しておく必要があります。
またカードローンの使い方としては、遠くに行った時の緊急時に利用するというものがあるため、ATMの提携関係などを調べてどこで利用できるのかについて知っておきましょう。
さらに最近ではATM以外の利用方法も提供されている場合もあるので、自分が必要とする利用方法が提供されているか調べておくことも重要です。
行動範囲を考えATMをどこで使えれば便利か考えてみる
そこでまず自分の行動範囲を考えてみましょう。会社員なら自宅周辺と勤務先周辺、都市部であればこれに加えて利用駅周辺も含まれるでしょう。
しかし提携先ATMは後で説明するように手数料がかかる場合があるので、利用するカードローンを運営している金融機関自前のATMがあったほうが良いでしょう。
ですから、まず自分の行動範囲内にあるATMをチェックしてそのATMの金融機関のカードローンを利用候補に挙げることにしましょう。
別地域に行ったときの利用はどうなるのか
もう一つ考えておきたいのが、地方出張に行ったときなどでも利用に困らない事です。
先ほど言いましたように金融機関の提携が進んでいますが、地方銀行などの場合、提携先が少なく、利用できるATMを探すのが大変というような場合もあります。
このため提携先にどのようなところがあるかという点についても調べておいた方が安心です。この場合コンビニが入っていると大変便利です。
そこで利便性から考えた選び方を纏めると次のようになります。
- 自分の行動範囲で便利に使える
- どこに行っても利用できるATMが見つかる
ATM以外の利用方法は提供されているか
以前であればこれで終わりですが、最近では通販などの利用が増えて、現金ではなく直接口座に振り込んでもらったほうが便利だという人もいるため、カードローンと言ってもカードを使わず電話やインターネット経由で振込依頼で利用できるものが増えてきています。
そこで当初はATMを利用するにしても、将来はどうなるか分かりませんから、こういった振込依頼に対応したものを選んでおけば、将来にわたって安心して利用できます。
調べておきたいのは、次の点です。
- 振込依頼に対応しているか及びその手段(電話、ネット)
- 依頼から実際の振込までの時間
- 即日振込の締め切り時間
即日振込は金融機関の営業時間にもかかわってくるので、通常15時までですが、15時までに振り込みが行われるためにはそれ以前に振込依頼をしていなければなりません。金融機関によって10分前までとか30分前までとかというように違いがあるので注意しましょう。
また最近この15時までという時間についても見直しが行われているので、利用開始後も時々確認するようにしましょう。
有利さから考える!安易に選ぶと大損するかもしれない
もう一つ見逃してはいけないのが有利さというポイントです。審査に通りそうでATMが近くにあっても、他と比べて利息が高くなってしまっては大損です。
特に必要なのは目先だけ考えるのではなく、信用ができて大きな利用限度額を持てるようになったとき、どの程度金利が下がるのかという事です。
注目すべきは金利だけではありません。ATMを利用するとき手数料がかかるかどうかも有利さを考えるうえで、大変重要なことです。
また金融機関によっては住宅ローンを利用している人に対しては有利な金利でカードローンを提供しているところもあるので、そういったことについても確認しておくことが必要です。
将来を見通した金利の比較をしよう
まず金利について少し説明しておきましょう。利息と金利の関係は次のようになっています。
したがって金利が高いか借入期間が長いほど利息も高くなるわけです。
このためカードローンを選ぶ場合は金利を気にするという人が大勢います。そこで次にカードローンの金利を見てみましょう。
カードローン名 | 金利 |
---|---|
みずほ銀行カードローン(コンフォートプラン) | 4.0%~14.0% |
アコムカードローン | 4.7%~18.0% |
ここに挙げたのは代表例ですが、概ね銀行で4%~15%の間、消費者金融で4%後半~18%程度になっています。御覧のように金利には大きな幅があるのです。
利用者に適用される金利は審査によって決まりますが、人間は自分に都合よく解釈するため、初心者の場合当然自分には最低金利が適用されるだろうと考えてしまいます。
しかしこの金利は審査によって決まるとはいっても、実際には設定される利用限度額に連動して決まります。利用限度額が高ければ低金利になり、低くければ高金利になるのです。
カードローンの利用初めはまだ金融機関との信頼関係は白紙状態ですから、審査では利用限度額は低く抑えられます。したがって金利は殆どの場合最も高い数字が適用になります。
ただし、この利用限度額は利用を続けて信頼関係ができれば増額してもらうことができます。新たに審査を受けなおすことになりますが、増額されればそれに伴って金利も見直され徐々に低くなっていきます。
そこで利用開始時点では14%程度の金利で致し方ありませんが、将来は低くしたいですから、カードローンを選ぶ際には、どの程度まで低くなる余地があるのかを確認しておきましょう。
例えば利用限度額は増額されても、金利は14%固定というような場合には、将来は大きな損失という事になります。選ぶ場合には十分注意してください。
ATM手数料は馬鹿にできない
次に確認しておかなければならないのはATMの利用手数料です。キャッシュカードと同じで時間外の利用では108円の利用手数料がかかります。
また提携ATMを利用する場合も通常108円、時間外では216円の利用手数料がかかってしまいます。
その程度ならしょうがないと考える人もいます。もちろんその人の考え方次第です。
しかし、最近は以前に比べて金利が低いため、短期間で借入と返済を行う場合利息は非常に少なくて済みます。このため、相対的にATMの利用手数料が高く見えてしまって、利息よりも手数料をたくさん払っていたというような笑えない話もあるのです。
そこで確認してほしいのですが、カードローンによってはこの利用手数料を金融機関のほうが負担してくれる場合があります。
自分の利用方法を想定してATMの利用手数料がかさむようであれば、そういった自分の負担にならないカードローンを探してみてはいかがでしょうか。
住宅ローンを利用していると金利が低くなる?
もう一つ住宅ローンを利用している人は覚えておいて損はないのですが、住宅ローンと同じ金融機関でカードローンを利用すれば金利を低くしてくれる場合があります。
例えば先ほど説明したみずほ銀行カードローン(コンフォートプラン)の場合、次のようになっています。
住宅ローンの利用無し | 4.0%~14.0% |
---|---|
住宅ローンの利用有り | 3.5%~13.5% |
この場合、一律0.5%引いてくれているわけです。その他の銀行でも同じような形で金利を差し引いてくれている場合があったり、そもそも住宅ローン利用者のためのカードローンを用意している場合もあります。
住宅ローンを利用している人は、こういった有利な条件にしてもらえるカードローンが無いかどうか確認してみてください。
自分に合ったところを探す!カードローン選びの方法
ではこれらのポイントを自分なりに纏めたとして、それらを使ってどのようにカードローンを選べばよいのでしょうか。
まずはポイントを満たすものを探す前に、自分がそれぞれのカードローンの申込条件を満たしている事が必要です。そうしないとそもそも申込めないので、満たすものだけを選び出しましょう。
次に各ポイントを調べた結果から、より具体的な自分のカードローンへの希望条件を明確にしていきます。
最後に希望条件でカードローンを評価すれば、自分の希望を満たすカードローンを探すことができます。
利用可能金融機関から申込条件を満たすものを探す
まず行う事は、自分の行動範囲内にある金融機関のカードローンの情報をすべて集めることです。どのカードローンが自分にとって都合が良いものかどうかは分かりませんから、もれなく情報を集めましょう。
情報は実際に金融機関に行ってパンフレットを貰ってくるか、あるいはホームページに掲載されている詳細情報でも構いません。
その中から自分の申込みができるものを選び出します。カードローンにはそれぞれ申込条件があります。例えばどのカードローンでも安定収入があることという条件が入っているはずです。
また申込み年齢にも条件があります。申込みの下限はほぼ統一されていて20歳以上という事になっていますが、上限は統一されていません。
多くは65歳までですが、60歳となっている場合や、70歳としているものもあります。
その他、年金受給者や専業主婦の扱いなどもそれぞれ違っていますから、集めた情報をよく確認して、自分が申込めるものを選び出しておきましょう。
自分の希望条件を明確にする
さて準備が整ったので、いよいよどこがいいのか決める手順を説明します。まず行う事は、ここで説明したポイントにしたがって、自分がカードローンに求める希望条件を具体化することです。
例えば返済方法とか、金利やATMの手数料についての条件とか、他地域での使い勝手の条件とかです。
それらの条件にはそれぞれ重みを付けておきます。最も優先する条件は最も高く、以下少しづつ重みを下げます。たとえば3段階に分けて、1から3までの重要度を付けておきます。
重みを付ける理由は、なかなか全条件を満たすという事は難しいので、できるだけ自分に合ったものを見つけるために重要度の高いものの評価を高くするための点数として利用するためです。
希望条件でカードローンを評価する
申込みが可能なカードローンと希望条件が分ったら、この2つの情報で表を作ります。縦に希望条件を並べ、横にカードローンを並べます。
重要度 | カードローンA | カードローンB | … | |
---|---|---|---|---|
希望条件1 | 3 | 3 | 3 | |
希望条件2 | 1 | 1 | 0 | |
希望条件3 | 2 | 0 | 2 | |
… | ||||
希望条件n | 1 | 1 | 1 | |
合計 | 5 | 6 |
条件を満たすものにはその重みを点数として記入していきます。すべての希望条件とカードローンの組み合わせを評価して、各カードローンの点数の合計を計算します。
最も合計点数の高いカードローンが自分に最も合ったものと言えるでしょう。場合によっては点数の高い何件かで、さらに検討して選んでも構いません。
ここでどこのカードローンがいいのか選択する方法について纏めておきます。
- 宣伝や他人の体験談からでは審査の難易度は分からず自分の状況から審査通過の可能性を考える
- ATMの位置やATM以外の利用法など利便性の検討が必要
- 金利やATMの利用手数料等を考慮して有利なものを選ぶ
- 多くの情報を集め具体的な希望条件でカードローンを評価する
もし自分に合わないカードローンを選んでしまうと、結局使いにくくて、利用をやめるか別のものにのりかえるかしなければならなくなります。少し時間を要しても慎重に選ぶことが必要です。