「継続的に安定収入があれば、パートでもOK」と銘打ったカードローンが増えました。申込条件欄への記載だけでなく、ローン案内の一番目立つところにド~ン!と書かれていることもあるなど、パートでお勤めの方へのPRも目立っています。
では、実際にどの程度利用できるものなのか。また、どういう点に気をつけなければいけないかを、パートでお勤めの皆さん向けに考えてみましょう。
あなたの年収はいくら?
まずは基本中の基本である「年収」という言葉を正しく理解されているかの確認からスタートしましょう。この数字を間違えて理解していると、ローンの申込みで不利になることにもなりかねませんから、言葉の意味は正しく覚えておきたいものです。
年収と年間所得と手取りの違い
主婦の皆さんにとっては、ご主人の所得税やご自身の社会保険加入などの問題に直結する言葉でもある「年収」と「年間所得」と「手取り」の違い。お分かりの事と推察しますが、これから社会に出て働く方への説明の意味も込めてお話しておきます。まずは下の表で見比べてみましょう。
用語 | 意味 |
---|---|
年収 | 税金や保険料など、あらゆる物を差し引かれる前の、年間総収入額 |
年間所得 | 年収から各種控除を差し引いた後の金額 (各種控除の例:基礎控除、配偶者控除、障害者控除など) |
手取り | 年収から税金や保険料などを差し引かれて、手元に残る金額 |
どうでしょう?この違いを知っていないと、ローンの申込みだけでなく、税金の計算や配偶者控除(扶養家族になるかならないか)にも大きな影響を与えることになるので、是非覚えておいて頂きたい言葉です。
上の表を更に短くまとめると、
になります。『【年収】から各種控除が引かれるのが【年間所得】』で、『【年間所得】から税金などが引かれて手元に残るのが【手取り】』です。よく、手取りと年収を同じ物と考えている方がいらっしゃいますが、これはローンで借りれる金額に大きな影響となりますので、正しい認識を持つようにしましょう。
消費者金融で借りれる金額の現実
年収がローンで借りれる金額に大きな影響となるのは、銀行以外が商品化しているカードローンやフリーローン、クレジットカードのキャッシング枠などです。では、具体的にどういった影響になるのかを見ていきましょう。
年収の1/3までの「総量規制」
銀行など金融機関を除くローン業界各社のキャッシングには、年収の1/3を超える貸付をしてはいけないという法律上の規定があり、これを「総量規制」と呼んでいます。
「年収の1/3」というように、ここで正しい「年収」の意味を理解していないと、自ら申込みの時に少ない金額を年収として申告してしまうことになってしまいます。くれぐれも「手取りで月いくらだから、年間でこれだけ」と計算しないようにして下さい。
「総量規制」は1件の契約ごとに年収の1/3というのではなく、『貸金業者からの借入総額(または限度額の総額)が年収の1/3を超えてはいけない』とされています。下の例をご覧頂くと解りやすいでしょう。
②年収90万円で信販会社発行のクレジットカードのキャッシング枠が30万円ある場合、他社(金融機関を除く)からは借入れができない。
消費者金融や信販会社からは、カードローンやフリーローンでのキャッシングはトータルで年収の1/3までしかさせてもらえない、ということですね。
総量規制の対象になるもの
「総量規制」の対象になるのは、「貸金業者からのカードローン・フリーローン」です。「貸金業者」というのは、消費者金融や信販会社など『貸金業法による届出でお金を貸している企業や個人』をいいます。銀行や信用金庫など金融機関以外はほぼ該当すると考えていいでしょう。
また、貸金業者からの借入れでも、「借り換えローン」や「ローンの一本化」は対象外になっています。あれこれ考えるよりも、「カードローンとフリーローンが対象なんだ」と簡単に覚えておけば充分です。
総量規制とパート収入の現実
全てがそうではありませんが、概ねパートタイムでお勤めの方は、ご主人の扶養からはずれないように、また、お勤め先が社会保険に加入しなくていいように、時間と収入の調整がなされているでしょう。
金融機関で借りれる金額の現実
では、「貸金業者」ではない銀行や信用金庫などの金融機関はパート収入に対してどれくらい貸してくれるのかが気になるところですよね?総量規制の対象外である銀行のカードローンなら、もっと融資をしてもらうことができるのでしょうか。
パートに対する金融機関の対応
法的な制限がない分、より多くの借入れができるのでは?と期待される方もいらっしゃるでしょうが、金融機関ごとに考え方・取り扱いが異なっているのが現状です。
「パート勤務の方は上限30万円まで」というように、予め上限を告知している銀行もあれば、審査によって個別に判断をする銀行もあり、その動きに統一性はありません。金融機関ごとに「この銀行はどういう制限を設けているだろう?」と確認をすることが必要です。
パート兼主婦のローン選択法
パートとして、ご主人の扶養家族でいられる範囲内での収入である場合は、ここまでお話してきたように、消費者金融なら最高でも年収の1/3まで。金融機関でも10~50万円が限界と考えていいでしょう。
では、実際にキャッシングローンが必要になったとき、希望する金額の融資を受けるにはどうしたらいいでしょうか。パート兼主婦の皆さんは、少額で済む場合と、ある程度まとまった金額が必要な時で、申込みの方法も変わってきます。
少額融資なら自分の収入でも可能
簡単なのは10~30万円程度のいわゆる「少額融資」を希望する場合です。この場合は、ご自分のパート収入でも充分に審査を通過し、希望額を借りることも可能になっていますから、金利や使い勝手の良さを比較検討すると良いでしょう。
また、「旦那には内緒で」という方も、こちらを選択することになるでしょう。銀行のカードローンには、ご主人の収入を対象に専業主婦へ融資をしてくれるものもありますが、やはり融資額は少額に制限されると考えて行動すべきです。
理想は夫婦で相談すること
ご自分のパート収入で借りるにしろ、ご主人の収入を元手に銀行から主婦として借りるにしろ、やはり理想はご夫婦で相談の上で申込みをすることです。
少額融資であれば上手くやり繰りすることで内緒の利用もできるでしょうが、50万以上のまとまったキャッシングを希望するなら、パート収入では審査自体のハードルがかなり高くなります。ご主人に借りてもらう方が消費者金融では総量規制の上限も上がりますし、銀行でもご主人本人への融資ならハードルは低くなっていきます。
ただし、近い将来に住宅ローンや新車購入の為のマイカーローン利用を計画しているのであれば、ご主人に借入れがないことが理想形になります。それらの状況も踏まえて、誰名義で、どれくらいの融資を受けるか、じっくりと考えることも必要でしょう。
「自分へのご褒美でへそくり感覚」の借入れや、給料日前の急場凌ぎ程度であれば、パートとして、ご自分名義のキャッシングもありでしょう。しかし、それ以上の額になるのであれば、後々のトラブルを回避するためにも、一家の収入と支出のバランスをよく考えて、どのように申込むかを比較検討することをお勧めします。